まず始めに、おしっこはどこで作られてどのようにして出すか簡単に説明します。
(図を参考にして下さい)
おしっこ(尿)は1日約800-1500ml出ます。
腎臓で老廃物や余分な水分を排泄し(これが尿です)、必要な成分を再吸収してリサイクルしています。腎臓で作られた尿が尿管を通って膀胱という伸び縮みする袋にたまります。尿が約200mlたまると少しおしっこがしたくなり、約300mlでおしっこをしよう(排尿)とします。
膀胱にたまった尿は普段は漏れないようして(蓄尿)、尿がでたくなったら膀胱は収縮して尿道から出します(排尿)。
おしっこの回数が多いことをいいます。起きている間9回以上、寝ている間3回以上トイレに行くようでしたら頻尿と考えられます。
おもな原因は、膀胱に炎症、結石、腫瘍などがあるとき、男性でしたら前立腺に炎症、肥大症があるときや、そのような病気がないのに膀胱に尿があまりたまらないのに尿意を感じてしまう時に起こります。
そして逆に残尿が多いのに本人はそのことに気づかずに、少し尿がたまると何回も排尿することもあります。
本人の意志とは無関係に尿が漏れてしまうことをいいます。尿失禁は特に中高年の女性に多くみられます。
イ、腹圧性尿失禁(ストレス性)尿失禁:お腹に急に力が加わったときに(咳、くしゃみ、重いものを持ったとき)漏れてしまうことをいいます。骨盤内の臓器を支える組織がゆるんだりすることが原因です。
ロ、切迫性尿失禁:排尿したくなると我慢できずに漏れてしまう状態です。何らかの原因で無意識のうちに膀胱が勝手に収縮してしまうためです。
その他、手足が不自由や痴呆などのためトイレに間に合わず漏れてしまう機能性尿失禁などがあります。
詳しくは「尿失禁について」欄をご覧ください。
ここでは尿が腎臓で普通に作られているときに、膀胱から尿が出しにくい状態(自覚症状としては、時間がかかる、尿の勢いがない、線が細い、残尿感があるなど)をいいます。
その原因は中高年男性なら膀胱の出口にある前立腺が肥大して尿道を圧迫する時や、膀胱がうまく収縮できないとき起こります。その他に膀胱内の結石、薬剤によるものなどがあります。
本人の意志とは無関係に尿が漏れてしまうことをいいます。尿失禁は特に中高年の女性に多くみられます。
尿失禁にも以下のようなタイプがあります。
お腹に急に力が加わったときに(咳、くしゃみ、重いものを持ったとき)漏れてしまうことをいいます。
骨盤内の臓器を支える組織がゆるんで膀胱や子宮の位置が下がったり、尿道の括約機能(尿道をしめる力)が低下していることが原因です。ときどき膀胱機能の異常で頻尿を伴う人もいます。 多産婦や、肥満の人に起こりやすいです。
排尿したくなると我慢できずに漏れてしまう状態です。何らかの原因で無意識のうちに膀胱が勝手に収縮してしまうためです。
加齢、脳血管障害、脊髄障害などで我慢しようにもできない状態ときに起こりやすいです。
慢性的に尿が出にくいときにみられる尿失禁です。前立腺肥大症などの膀胱より下流の閉塞や、膀胱収縮力が著しく低下して尿がいつも膀胱に残ってい るときに、膀胱の圧力が高まり、ついに尿があふれ出てきた状態をいいます。
手足が不自由や痴呆などのためトイレに間に合わず漏れてしまう機能性尿失禁などがあります。
高齢者では切迫性尿失禁と合併していることが多いです。
ただし見かけは、尿をもらすという現象でも、膀胱炎、膀胱結石、膀胱癌、前立腺肥大症などが背景になっていることがあるので、尿検査で尿の汚れや血尿がないかきちんと確認することと、残尿が多くないかチェックする必要があります。
採尿と問診
まず尿をとってもらって検査します。
尿もれの具合、程度、回数や尿の回数についてよくききます。
排尿日誌
尿漏れの状態を把握してもらうため、普段の状態での排尿日誌をつけてもらいます。
超音波検査
腎臓や膀胱の超音波検査をします。
膀胱結石、膀胱腫瘍、前立腺肥大などの他、残尿も調べます。
ふつうに尿が溜まった時の尿の出具合(勢い、量、時間など)を調べ、超音波で残尿の程度を調べます。
その他ふだん飲んでいる薬、便秘の有無について聞きます。そしてどんなタイプの尿失禁か把握します。
■腹圧性尿失禁・・・肛門をしめる体操、飲み薬、手術療法。
■切迫性尿失禁・・・切迫感を緩和するための薬物療法(飲み薬)
■溢流性尿失禁・・・排尿障害となる疾患を把握して、それに応じた治療。
血尿には目で見て赤い(焦げ茶色から朱色、赤ワイン色)ものと、健康診断で指摘される尿潜血反応陽性、または顕微鏡で観察してみえる顕微鏡的血尿(高率の倍率で一つの視野に3個以上の赤血球を認めるもの)をいいます。
健康診断で、尿潜血反応陽性と言われたときに実際に尿に血が混じっているのは約60%です。いずれにしても尿に赤血球が混じっていることを血尿と言います。
なお、尿のとりかたによっても血尿がみられるときがあります。女性の生理中や、ほんのわずかしか取れない尿での検査はあてになりません。
尿が作られるところ(腎臓の実質)、尿が流れるところ(腎臓の中の腎杯、腎盂、尿管、尿道)または尿をためるところ(膀胱)からです。
1. 尿路感染症:膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎
2. 尿路結石:腎結石、尿管結石、膀胱結石
3. 尿路の癌:腎臓癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、尿道癌
4. 腎臓の炎症:糸球体腎炎、腎症など
5. その他:遊走腎、尿路の奇形、特発性腎出血
血尿で怖いのは無症候性肉眼的血尿です。
なぜなら、血尿以外に排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿が出にくいなどの症状が見られるときは感染症を疑い、背中、脇腹や下腹部の痛みを伴うときは腎、尿管結石を疑います。
尿路の癌の時は、突然血尿がみられますが、たいていの場合様子をみているうちに血尿が消失してしまうことが多いからです。
・詳しく症状を聞きます。
・尿検査:中間尿を顕微鏡でみます。
・悪い細胞や細菌がないか調べます。(尿細胞診と尿培養)
・超音波(エコー):腎臓、膀胱、前立腺
・レントゲン写真: 単純写真、場合により造影剤を使って撮ります。
血尿以外に症状がないときは、大人なら膀胱ファイバーを行うこともあります。